2025.04.30
春だロックだサメだ
すっかり寒さもなりを潜め、花粉飛び交う今日この頃。世はゴールデンウィークなるものと聞きますが、弊社はカレンダー通りの営業なので、今日も不承不承労働です。
そんな5月病まっしぐらな日々に刺激をもたらすものといえば、
そう、サメ映画です。

音鮫怪獣グラメタシャーク
第1.5回東京国際サメ映画祭にて日本初公開されました、
「ジュラシック・シャーク」「ウィジャ・シャーク」そして以前に紹介した「パペットシャーク」でおなじみ、カナダのブレッド・ケリー監督の最新サメ映画です。
海でボートを漕いでいたモヒカンのメタラー男性と、そのメタラーを海中から狙ていたサメに、宇宙から降ってきた謎の隕石が衝突、両者がなぜか融合し真っ赤なモヒカンにつぶらな瞳の怪獣グラメタシャークが誕生します。
すでに何を言っているかわかりませんね。

一方そのころ、人気ロックバンド「ゼラチン・スケラティン」のライブチケットを手に入れるために二組のファンが奔走する。
一方そのころ、ニュース速報では町に現れたグラメタシャークの被害が報じられ、ニュースキャスターも困惑している。
一方そのころ、軍の重要機密施設では徐々に巨大化し町を蹂躙するグラメタシャークの対策に奔走していたりマグカップでドリンクを飲んでいたりする。
はたしてファン達は無事にライブに参加できるのか?そもそもライブは開催できるのか?軍はグラメタシャークを退治することができるのか?
パペットシャークでは子供でも楽しめるゆるふわなサメ映画に舵を切ったケリー監督ですが、今作ではコメディに舵を振り切りつつ自分の趣味も全開にした様子。
作中に登場するバンド「ゼラチン・スケルティン」は実在のバンドで、何を隠そうボーカルを務めるのはケリー監督ご本人。
作中歌「VHS」も、もちろんご自身で歌っております。熱唱です。
そして今回も監督の二人の息子さんがご出演。パペットシャークでは声のみの出演でしたが、今作ではがっつりファンの一組を立派に演じております。
サメ映画でありながら、楽曲のMVであり、同時に家族の思い出ムービーでもある…一石三鳥ですね。
サメ映画と言えば多量の資料映像、謎の切り抜き素材、雑合成でおなじみですが(諸説あります)、今作で感じたのは監督がそれらの素材を使うことに開き直り、そして圧倒的に使い方が上手くなっている、ということです。
合成の手間と予算を惜しんだ挙句に「その場面で何が起こっているか」がわかりにくくなりがちなサメ映画ですが、今作では多量の素材を使用した‟クソコラ感”を代償に圧倒的な場面の分かりやすさが担保されています。ちょいちょい人物の一部が透けていたり、突然画質が不自然にきれいになったり、遠近感がぶれっぶれだったりしますが、些細なことです。気にしてはいけません。
またサメ映画と言えば長すぎる尺稼ぎ謎映像がおなじみですが(諸説あります)、こちらも今作では、多量に挟み込まれるニュース速報と重要機密施設の場面転換により尺を稼いでいることにより、謎映像よる眠気を催す退屈な中だるみは劇的に改善されています。
あまりに頻繁に挟み込まれるので些かうんざりはするかもしれませんが、映画中盤で寝落ちするのに比べたら些細な問題です。
笑いあり、音楽あり、巨大ロボット兵器あり、ふわふわの子犬あり、間奏あり、そしてもちろんサメありの「音鮫怪獣グラメタシャーク」
小さなお子さんでも安心して鑑賞できる今作、サメ映画はもちろんロック好きの方にも多分おすすめです。
私はDVD出たら買います。